“僕は何をすればいいですか?”と聞いてくる社員に、上司が本当に伝えたいこと

はじめに|「やることがわかりません」は“怠け”なのか?

職場でこんなやりとりを経験したことはないだろうか。

上司:「〇〇くん、今なにしてる?」
社員:「特に指示ないので…あの、僕って何をすればいいですか?」

このセリフに対して、
「なんで自分で考えないんだよ…」とイラっとした人もいれば、
「教えてもらわなきゃ動けないんだな」と冷静に受け取った人もいるだろう。

だが、この問いかけの奥には──
現代の働き方・教育・組織の本質的な課題が詰まっている。

この記事では、”何をすればいいかわからない社員”に対する視点を深掘りしながら、
チーム全体がもっと機能するための「共育」について考えてみたい。


第1章|「何をすればいいか分からない」=悪ではない

このセリフ、上司からすればモヤモヤする。
だが忘れてはいけないのは、

これは「やりたくない」ではなく、「やるべきことが見えていない」状態。

本人も不安なのだ。
仕事がないように見えて、実は「自分が役立てていない」ことへの焦りや焦燥を抱えていることもある。

この問いは、信頼の裏返しでもある。
「何をすればいいですか?」は「あなたの期待に応えたい」という表現なのかもしれない。


第2章|原因1:受け身で育ってきた教育の弊害

現代の若者は、「指示に従うこと」が評価されてきた教育環境で育っている。

  • カリキュラムが用意された塾
  • 正解のあるテスト
  • 失敗しないように育てられる家庭

自分で「何をやるべきか」を考える機会が乏しかったのだ。

つまり、“考える前に正解を求める習性”が染みついている。


第3章|原因2:組織の「曖昧さ」が見抜かれている

逆に、“何をすればいいか”を明確に伝えられない組織側にも課題がある。

  • 業務の目的があいまい
  • 評価基準がブラックボックス
  • 「察して動け」が美徳になっている

「何でもいいから動け」と言われても、自分が何に貢献できるのか不明確では動きようがない。


第4章|本音:上司が本当に求めていることは?

実は、多くの上司が望んでいるのは**“自律的な動き”**である。

✔️ 言われる前に動いてほしい
✔️ 改善提案してほしい
✔️ 小さな仕事も自分事として進めてほしい

そのためには、「言われたことを完璧にやる」以上の思考力と主体性が必要だ。


第5章|“聞く力”は悪くない。「問いの質」で未来は変わる

ただし、「聞く」ことそのものが悪いわけではない。
問題は“どう聞くか”。

✖「僕、何をすればいいですか?」
◎「今、〇〇と〇〇を終えたのですが、今の優先事項として△△を進めてもいいでしょうか?」

“報告+提案+確認”というフレームで聞かれると、上司側も「お、やる気あるな」と思える。


第6章|上司側の処方箋:3つの“仕掛け”で変わる

「可視化リスト」を用意する
→ 「今やるべきこと一覧」を共有しておくことで、「何すれば」が減る。

週1で1on1を実施する
→ 雑談も交えつつ、“何を期待しているか”を伝える機会を作る。

「意味」から伝える
→ 「なぜそれをやるのか」を語ることで、社員は“作業”ではなく“価値”を見出せるようになる。


おわりに|“何をすればいいか”を自分で問える人に育てる

「僕、何をすればいいですか?」
その一言を、“考えない社員”と切り捨てるか、
“成長のきっかけ”と捉えるかで、組織の未来は大きく変わる。

教えるべきは“作業”ではなく、“問い方”である。
そして、“問いを自分で作れる人”こそ、これからの時代を生き抜く強さになる。

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