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1. 「ベルマークって、まだあったんだ。」
子どもの頃、牛乳パックやお菓子の箱に付いていた小さなマーク。それが「ベルマーク」だ。
「切り取って集めて学校へ持っていく」──多くの人にとってはノスタルジーだが、実は2025年現在も全国約1万4000の学校や団体が参加している。
しかし、ここでふと疑問が湧く。
「これって、実際どれくらい意味あるの?」
2. 仕組みをざっくり説明すると…
ベルマークは、企業が提供する商品に点数(例:1点=1円相当)としてマークを付け、それを学校やPTAが集めて送ることで、必要な備品などを購入できるという仕組み。
要は、“現代版ポイントカード”のようなものだ。
では、その「1点」のためにどれだけの手間がかかっているのだろう?
3. 【実録】ベルマーク1点を生み出すまでのコスト
ここからは、少し数字で遊んでみよう。
ケース:主婦AさんがPTAでベルマーク係になった場合
- ベルマークの仕分け:1枚に約10秒
- 1000枚の仕分けに必要な時間:約3時間
- 集まった点数:約800点(=800円相当)
つまり、時給換算すると266円。
人件費ではなく「ボランティアの善意」で成り立っているが、あえて経済合理性の視点から見ると、スーパーの特売チラシを折るバイトの方が3倍効率が良いという計算になる。
4. 時間 vs. 効果:本当に“意味ある支援”なのか?
もちろん、ベルマークは単なるお金の話ではない。そこには「共同作業」「地域貢献」「子どもたちのために何かしたい」という想いが詰まっている。
でも、たとえばこう考えてみてはどうだろう?
- 1時間ベルマークを切る代わりに、1時間地域の公園を掃除したら?
- 仕分けの時間を、読み聞かせや図書ボランティアに使ったら?
「支援」という目的は同じでも、“使い方”次第でより意義深くなる選択肢が実はたくさんある。
5. 実際に届くのは何?「意外と買えない現実」
ベルマーク800点で買えるものは限られている。
- ノート20冊
- 小型のホワイトボード
- 電池パック数本
一方で、送料や管理コストがかかるため、満額が備品に充てられるわけではない。
しかも、企業側も印刷コスト・流通の調整・回収の事務処理が発生しており、社会全体としての“リターン効率”はかなり低め。
6. 「じゃあ、廃止すべき?」
ここが難しいところ。
ベルマークは、単に「効率」を追求する制度ではない。
アナログで手間がかかるからこそ、「人が人のために動く」ことの象徴でもある。
しかし、こうした活動が**“見直されるべき時期”に来ている**のも事実。
例えば…
- デジタル版ベルマーク(アプリでポイント収集)
- Amazon欲しいものリスト公開→寄付
- クラファン形式での物資支援
など、令和仕様の寄付の形もすでに存在している。
7. まとめ:「ベルマークの価値」は数字だけじゃ語れない
ベルマークは、費用対効果という観点では決して効率的とは言えない。
けれど、そこには数字では測れない**「温かさ」「関わり」「気持ち」**が確かにある。
でもそれは、「ベルマークじゃないとダメ」ではないはずだ。
これからの時代に合った、**新しい“支援の形”**を考えていくことが、本当の意味で子どもたちにとって価値あるアクションになるのかもしれない。